東京は夏になりました。

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 夏だ。脇のステッチがほつれたTシャツにダルダルのディッキーズを穿き、スケートボードのせいで左足が一部白くなってしまったスニーカーを履く。気の抜けた気だるい格好で外に出ても、何一つ問題無い季節になった。北海道の寒さにほんの少しの名残を思いながら、ホットコーヒーを毎度選ぶのももう終わり。不揃いの氷が浮かんだ赤褐色をすすって、一滴をグレーのTシャツに落とした。夏だー。

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 恋人から『いっつも同じような格好して』という皮肉のような言葉を与えられて、全くもってその通りだと思った。ヘインズのTシャツは乳首が透けるから二枚重ねて着る。東京生活の一月目を苦しくした最大の要因であるコムデギャルソンのポリエステル縮絨のパンツは、いつも通りシワシワ。同居人が用意した便所サンダルみたいなのを履けば、差し色がどうだハズシがどうだとかいう文脈に顔を突っ込める。全くそんなこと考えていないけど。

 新しい人に会えばなんだかんだ明るく振る舞える僕だけど、根っこはきっと暗い人間だと思う。一人で居る時間は優雅で何にも代えがたいし、人が蟻の巣付近の蟻みたいにごった返した原宿を目の前にした時は、ただただ疲れた。家でネットショッピングばかりをしているのにも十分頷ける。


 思えばたくさんのご縁に囲まれたこれまでの二ヶ月間だった。大好きな人ばかりだった。生まれて初めて鳥貴族に行った時は、Twitterで仲良くしてくださる「くいしんさん」が。宮崎料理屋でビールをたらふく頂いた時は、「横山さん」が。

 表参道の風情溢れる居酒屋に連れて行ってくださった「はせさん」、中目黒のかなり美味しいトマト麺とビールをご馳走してくださった「太陽さん」。びっくりするほど美味しかった焼肉を金の無い僕に振舞ってくださった「しゅうこさん」。どでかい東京タワーを見せに連れて出してくれたのは「ゆうなさん」だった。

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 彼ら彼女らと居ると、僕はいつも幸せだ。明るく振舞おうとして振舞っている訳じゃない。愛想笑いは一つとして無く、おべっかも、思ってもない言葉も一切無い。純真な気持ちで笑って、思った通りの言葉を吐き出す。自然体。


 僕は、皆さんに何かをしてもらってばっかりだ。近頃は「彼ら彼女らに何を返せるか」ばかり考えている。多分皆さんは口を揃えて『損得勘定じゃないんだ』や、『見返りを求めることじゃない』という格好良い言葉をくださるのだろう。実際に、店を出る時にはもれなく全ての方がそうおっしゃった。『いいよいいよ、そんな』とか、『酒くらいそんな気にすんなよ』とか。

 言葉が先行し、振り返ってみれば言葉だけだった、なんていうのは格好悪くて馬鹿らしい。『ご馳走様です』だけかよ、と。頭を一つ下げて、酔いに任せてそのままふらふらと帰る。朝になれば家の布団で寝癖頭と浮腫んだ目をこすり、10時間前のありがたい時間を忘れる。そんなのは最低だ。

 そうはなりたくなくて、少し野暮ではあると思いつつも、iPhoneのメモには先輩の皆さんの名前をずらりと並ばせている。Twitterの下書きが消えるのは別にどうでもいいが、これが消えてしまうのは考えるだけで怖い。

 季節は春から夏になり、気温は次第に高まってきた。それにともなってご恩を頂いた数も増えてゆく。僕は誰よりも幸せな人間だと思った。これからもずっと、これまでのご恩とその有り難みを忘れずに過ごしていきたいです。皆さん、ありがとうございます。これからもどうぞこんな僕をよろしくお願いします。