似非ラッパーから似非パンクスへ、似非モードへ。

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 コムデギャルソンオムのシャツを買った。裾にグレーがかったグリーンの切り替えがなされていて、ミニマルなデザインの一枚。同じような色の太めのスラックスと、テキトーな白いスニーカーなんかを合わせれば素敵だろうと思う。今回、ヨシオクボの細身のスラックスと合わせたら、なんだか主張が強いスタイルになってしまった。アーミーポケットが外側に取り付けられていて、普通のスラックスをそっくりペロッと裏返したような見た目。足元にはジョージコックスのクリーパーシューズを履いていて、どこもかしこも主張まみれの言いたがりな人みたいだった。

 本当に久々に服を買った。「フランス人は10着しか服を持たない」という本がかなり売れたという話を前に聞いたが、僕もきっとそんなもんだろうと思う。それも、各々同じような服ばっかり。紺やグレーに甘えてしまう癖のせいで、毎度毎度同系色ばかり揃っている。靴もそうだ。持っているのを並べてみたら、見事にすべてがモノトーンだった。黒、黒白、黒、深いネイビー。「見事にすべてモノトーン」ではないな。

 

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 写真をモノクロにしてしまったからこれでは伝わらないが、ここに写っている全てが黒もしくは白、またはその中間。こうなったら、11歳の僕を目標にして色とりどりなスタイルに戻ろうかとすら思う。バカみたいにエミネムばっかり聴いて、今ではタイトルすら全然思い出せないけど、とにかくそればっかり聴いた。服も自然とその方面に寄って行って、気づけば80kgくらいあるんじゃないかと思えるほどの、ぶかぶかの服ばかり。しかも、色合せは滅茶苦茶で、とにかく目立てばいいとだけ思っていた。全身赤の服を着て母に笑われたこともあった。今思えばひどいもんだ。着膨れした甲本ヒロトみたいだったんだろう。

 見えない自由が欲しくて、見えない銃を撃ちまくっていた。ブルーハーツとは無関係に、歌詞の分からない8マイルに肩と首を揺らしながら。奇しくもその3年後には、ラップを聴くのを止め、彼らのパンクロックを聴くようになり、みるみるどんどんこじれていった。細いズボンが欲しくてたまらなくなった。穴が空いていれば全部格好良いと思った。反動か、憧憬か。多分後者で、多分と言うか明らかに後者で、僕はそっくりそのまま甲本ヒロトになりたかった。

 

 あの頃の僕がもしも、あらかたモノトーンの服たちと、雑な布団と大きいパソコンしか無いこの部屋に来たら、何と言うだろう。『だせえ!』と言うだろうか。『なんでこんな細いのばっかり!』と馬鹿にするだろうか。たしかに生憎、ライダースジャケットもぶっといジーンズも実家に置いて来てしまった。連絡してなんとかこっちに送ってもらおうかなぁ。やめようかなぁ。やめよう。今日は一日何を着ようかな。