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私の本棚 (新潮文庫)

私の本棚 (新潮文庫)


 「そこまで本が好きか」。これが、この本を読みきった後に口から出た独り言だった。普段から本を読まない僕は、「本に関しての本を読んでみよう」と思い立った。 
 本との付き合い方をまるで知らない僕はまるで、初恋の中学生みたいだ。エロ本をチラッと覗き見たり、ファッション誌のエロのページを部屋で悶々と見たり。そういう気分で、誰がどんな風にして、本と付き合い向き合ってきたのか。それをニタニタ覗いてみようと思った。

 読んでみれば、途中途中には驚きばかりだった。エロ本がどうこう妄想を言えるほどじゃなかった。この本は、23人の著名人が名前を連ねる短編集なのだけど、中には『本が床を抜けてバラバラと落ちていった』だとか、『本棚を眺めているだけでうっとりする』だとか。もう、ちょっと怖かった。

 少し名前を聞いたことのある「井上ひさし」という文字を目次に見ては、得体の知れない安堵感から彼の56ページを開いてみる。

本を読んでいるときのわたしはたしかに一個の明らかな珠(たま)になっている。
ただただ活字と一体になるのが好きで……

 セックスの話かと思った。下世話な話をモロにするのは嫌いだけど。正直、(何を言っているんだ?)と思った。珠になる。活字と一体になる。自分にはほとほと無い体験を井上ひさしさんは日常的にしていたのだと思うと、少し気味が悪かったにせよ、羨ましいとも思った。僕が全く理解できない境地に達していて。
 

 本を読み始めて3日。まだ読んだ本は3冊。このまま安定していけば、1ヶ月に30冊の本を読み終えることになる。あいにく本棚は持っていなく、図書館で借りた本ばかりだけど、この23人の彼らのようにはいかずとも、毎日ちょっとずつでも、本の面白みを理解していけたらいいなぁと思う。
 30日が経った日に、一杯になった図書館の貸し出しカードを眺めて、「俺、ここまで本が好きになったんだな」と独り言を言いたい。ただ、僕は、『本の背表紙を撫でているだけで満足してしまう』ような人間にはきっとなれないと思う。