2/50


 こぼれ落ちて季節は

こぼれ落ちて季節は


 今日はこの本を読んだ。普段から小説なんて一切読まない僕にとって、184ものページがとてつもなく重たいものとして感じられる。いつもは雑誌を流し読みするばかりで、200ページ近い情報量を一気に1日で取り込むなんて考えられないことだ。ただ、やはり1ヶ月間に50冊を読み込もうという意気込みを持って以来の僕は、まあ、言ってしまえばきっと、日常的に本を読む読書家の方々からすれば少ない方なのだろうけれど、僕にとっては大きすぎるほどの「184ページ」という障壁も少しは頑張れると思った。

 加藤千恵さんの、「こぼれ落ちて季節は」。最近東京に出てきた僕にとって、この中の登場人物である「木崎愛」にはとても大きな共感があった。彼女による『東京はコンビニが多くていいな』という言葉に、上京後1週間余りの自分はなんとなく(ああ、こういうことを少し思ったなあ)と思った。東京に移り住んだまさに初日に、チェーンの居酒屋が多いなぁとか、それぞれの駅がどデカいなぁとか。故郷である北海道と比べれば、バカにするではないにせよ、田舎と都会の違いを見せられたような気が少しだけする。

 また、物語の中にて経過する時間に対応した登場人物たちの人格の変容に、近い将来の自分を写し合わせたりもした。こぼれ落ちて揺れつつ動いていく季節に合わせ自分の考えが深まっていったり、春から夏にかけた気温の高揚の様にじんわりと変わっていったり、そういうことがきっとあるのだろうと思った。人や物に影響を受け、自らが変わっていく。きっと思うことも考えることも変わっていくのだと思った。

 涙がこぼれ落ちる。季節が揺れ動く。こぼれて落ちる、揺れて動く。暖かい図書館の一室で読んだこの短編集は、これからの僕の生活における心の変化を柔らかに予知しているような気がしてならなかった。