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酒が好きだ。

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 酒が好きだ。何にもまして、酒が好きだ。一人で飲むのも良いし、誰かを隣にしながら飲むのも良い。大勢が一斉に酒を飲んでいるのも良い。

 これからの人生についてちょいちょい考えながらビーフジャーキーを口の中でほろほろにして、それをビールで胃に流し込む。言葉を一切発すること無く。普段の独り言の癖は一旦どこかへ置いておいて、黙々と考えにふける。それに飽きれば、ビーフジャーキーを手で弄って遊ぶ。子供の頃に母から言われた『食べ物で遊んじゃだめだよ!』という言葉を15年越しに無視しながら、硬い肉片をバリッと裂いたり丸めたり。気づいた時にはビールの炭酸が少し弱まっていて、後悔からすべて一気に飲んでしまう。その際、大抵の場合においてビーフジャーキーは置いてきぼりだ。

 また、その日に起こった面白い出来事をのろのろ思い返しては、それに少し肉付けしたものをべらべら喋って時折日本酒をゴクリとやるのも楽しい。僕の恋人は酒が飲めないから、大抵コーラか紅茶を飲んでつまらなさそうに「ふーん」と言っているが、それもまた良い。独り言のような内容を話せる間柄はなかなかに貴重で、尊い。その時、やはり日本酒が旨い。

 「生7つ!」と注文し、それぞれの顔を程よく確認しながら「かんぱーい」の合言葉とともに一斉に喉を鳴らす。あれは格別に最高だ。日々のストレスを、黄金色の炭酸が無かったことにする。ヒリヒリと優しく痛む喉元に目をシワシワにし、唇についた白い泡を舌で口内に引き込む。考えただけでちょっとよだれが出た。アルコール中毒ではきっとないと思う。

 

 年齢上確かに大人になった僕は、硬くて濃い髭を生やしたり、歯磨きの後にチョコレートを食べたり、そしてこの文章に表現したように、酒を飲んだりするようになった。ピーターパンの様な思考を以て「大人になんかなりたくねえよ」と凄んでいたツルツルな肌の14歳の僕は、8年の月日を経てこんなになってしまった。「酒が好きだ。」なんていうジャンキーらしい言葉から始まる文章を書いているとは、まさか遠い昔の彼は思わないだろう。タイムマシンに「飲酒運転」の概念が無かったなら、ベロンベロンに酔っぱらった状態で、ひたすらにブルーハーツを聴いている14歳の僕に対して、その酒臭い吐息を吹きかけてみたい。この妄想は酒がそうさせたものではない。まだギリギリ午前だ。