頑張れ、俺。

  パーマをかけてからというもの、髪をセットするためのこれまでの時間が一気に短縮された。それまでは、6,7分くらいかけて一生懸命イジイジし、何度も鏡の前を行ったり来たりしてはまた触って、それでも納得がいかずまたグッシャグシャにして。人には決して見られたくない時間の過ごし方。トータルできっと、15分は鏡の前で困り顔をしていたと思う。

 今となっては、ワックスをテキトーに手のひらに乗せてワシャワシャと2分間。頭のてっぺんに太目の毛束を作って、完成。パーマのおかげで勝手に遊んでくれる髪の毛に対し、適度に手を加えたのちにほったらかしておけば、何とかスタイルになってくれる。その間わずか3分くらい。鏡を見る時間もよっぽど短くなった。

 かと言って別に、時間短縮の結果に得られた10分強を使って何か素敵なことをしている訳でもない。本は大した読まないし、かっこよくモーニングをキメているのでもない。寝ていられる時間がほんの少し増えたくらいにしか捉えられず、それでもなお約束の時間に遅刻しがちな自分は、本当に大ばか者だと思う。よくもこんな僕みたいなダメな奴に友達ができたもんだ。

 

 全然関係無いが、Houyhnhnmをざーっと読んでいるうちに、ランニングをしたい気持ちが出てきた。色とりどりの格好良いランニングギアを紹介している方々のブログは、いつも楽しげだ。Facebookで『今日は~分、...kmのランでした』と発表している人の成果が、時間と距離的な意味でだんだんと長くなってきた。それらを見た後に自分のお腹に目を移せば、もうやってられなくなる。あちらそちらで使われる宣伝文句、「食欲の秋」に完全にしてやられている。いつから男性も妊娠できるようになったのかと、現在の医療の進歩を疑ってしまう。嘘だ。

 「ランニングをしたい気持ちが出てきた」の前にお腹が出てきているもんだから、大したもんである。言葉にすれば簡単でコミカルで愉快であるが、現状は悲惨だ。下っ腹だけはどこかのふんぞり返った経営者みたいだ。ふんぞり返るどころか、僕は結構な猫背なのに、なぜこうも腹が出るのか。体型のせいにできるうちはまだ良かった。まったくもって訳が分からない。自分でもわからないのだから、こうして文章にしたものを読んでくださっている方々はもっと理解できないのだろう。

 

 こうして怠惰な自分に対して、時間の面で甘えさせられる「パーマ」というアメを与えてしまったのはまずい。ふわふわの綿アメみたいな髪の毛よろしく、だ。もちろん当然気に入ってはいるけれども。せっかくサイクリングロード沿いに住んでいながらにして、ランニングで額や頬に汗を輝かせている人々を見ていながらにして、こうして下唇を前に突き出して「うーん、ランニングは初期投資が...」とか言っている。結局「ランニングをしたい」なんて言っているのも机上の空論である。もはや机の上にも置かれていない。鏡の前で15分もの長い間、文字通り頭を抱えて悩んでいた頃とあんまり変わっていないじゃないか。むしろ悪化しているような気すらする。

とは思うものの、今日の夜には仲良しとお酒を飲みに行く約束がある。せめてものレモンサワーで縛ることも考えたが、きっと一杯目からビールで喉を鳴らすことになるんだろう。ばかだなあ、俺。