服とディティールと、それについてのこだわりとの話。

 以前友だちと話していた時に、彼が言った

俺、昔は派手な服が好きだったんだけどさ。でも、今はそんな服は着なくなってて。なんでか考えてみたんだけど、俺、服のディティールの方が今は気になっててさ。個性を出す部分が変わったんだな。

 という言葉が忘れられない。確かに服が好きな以上は、人とは違う服を身に付けたいと思う。ただ、その土俵をどこに設定するか。たとえば昔の彼ならきっと、目に見える一番最初のインパクトである「デザイン」を土俵として決めていたんだろう。それが「色」であったり、「形」であったり。人それぞれ差別化を図るための土俵がある。彼にとって、「デザイン」という土俵はあまりに狭すぎたのだと思う。たくさんの人間がいるこの社会において、地球上全域を探せば、同じ服を持っている人なんてザラに見つかることだろう。

 そうして彼は、新しい土俵である「ディティール」を見つけた。ジーンズの赤ミミを見つけた。ボタンフライのジーンズを見つけた。ジーンズばかりではない。ジャケットのステッチの色の面白さも、異素材の組み合わせの妙も、引いてはアイテムの歴史背景までをも見つけてしまった。細かい部分、「ディティール」の土俵に足を踏み入れた。格好良く言っているけれど、単純に言えば、注目する部分をデザインからディティールに変えたということだ。

 

 僕のBLUEBLUEのジャケットは、そういう「ディティール」の部分で秀逸なものだ。

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まずは素材の点。このジャケットは、剣道着の素材で出来ている。僕が5歳くらいの頃から始めた剣道。その背景・文脈をしっかりと踏んでいるこのジャケットは、いくら藍色が落ちようと着続けるんだと思う。また、この写真に写っているポケットのフチにも注目したい。この赤の線は、「赤ミミ」や「セルビッジ」と呼ばれるところ。ハリウッドランチマーケットの別ラインであるBLUEBLUEは、普通のジーンズでいうところのそれがホワイトであるのに対し、そこを鮮やかなレッドにしている。そういう彼らのこだわりをしっかり踏んでいて、とにかくこのジャケットは最高な一品なのだ。

 また、4つボタンという古臭いデザインなのも良い。周りの人々のうちほとんどが3つ、ないし2つボタンのジャケットをオシャレに着こなしている。彼らをよそ目に、古臭い4つボタンで、しかも一番下のボタンを留めずに着ているのは本当に面白い。小さいことではあるが、そこでも差別化を狙うことはできるし、何より「ファッションは自己満足である」という言葉を後ろ盾に満足できるのが良い。ボタンの閉め方や数なんて大したことではないのだ。好きに着たら良い。

 

 ディティールに目を向ければ、本当にキリが無い。どこまでも追い求めることができて、その最終地点は全く見えない。見えないというか、きっとそんなものは無いのだと思う。細かく細かく見ていっては、ラペル、ベント、ショルダー、などなど。たくさんの部分によって構成されている。縫い目であるステッチだってそうだ。たくさんの「部分」によって出来たのが「全体」であり、そこに各個人の「こだわり」が掛け算されるときたもんだから、もはや手に負えない。どうしようにもどうしようもないのだ。だからこそ、「ディティール」とそれに対する「こだわり」の掛け算があるからこそ、やはり僕らは服を心から楽しめるのだろう。いつもここで言っているが、やっぱり僕はファッションが好きだ。