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こじつけてこじつけて。

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 道路の脇を飾っているたくさんの紫陽花の花の中に、一つだけその青さを残したままのものがあった。スマートフォンには「31」の文字が表示されている。Twitter上では『夏休み最終日』だとか、『夏が終わる』などといった言葉が湧いて出たコバエみたいに見かけられる。夏が終わっちゃうなんて嘘だ。ずっと自分に言い聞かせてきたが、周りの反応を見ればきっと本当なんだろう。四季の話で言えば当然なんだろう。半袖のTシャツもきっと、もう少ししたら笑いものとして扱われるんだろうな。

 まだ青い紫陽花に自分を見た気がした。キザっぽいけど、本当に。周りの花はもうしおれてしまって、燃焼し切ったように下を向いていて、でもこの一つだけは「まだ夏だよ」と言わんばかりにピンとしている。きっとこの花と僕は似てると思った。紫陽花の花の開花時期は5-7月だと聞く。とっくに開花の時期は過ぎているのに、それでもずっと青のままで。僕も同じだ。みんなが『もう秋だ』と口にするのをよそ目にしながら、今でもなお冷やし中華を欲している。上着のシャツを着るたびに躊躇し、「要らねえかな」と脱ぎ捨て外出してはクシャミをしている。僕も青のままだ。

 今日は9/1。日常の風景はバキッと変わったわけでもなく、気温も昨日と大して変わらない。変わったところはと言えばコンビニの陳列棚に並ぶ雑誌くらいのもので、ファッション誌に書かれた「Autumn」の文字ぐらいだ。「秋の観光!」の文字を誇らしげに掲げた旅行情報誌ぐらいのもんだろ。別に何も変わらないだろ。近所のコーヒースタンドのポイントカードの色味くらいのもんだ。古着屋に並ぶボアが付いたコートぐらいだ。うるさいうるさい。まだ夏だ。夏にボア付きのコートを着るかよ。くっそ。

 紫陽花に自分を重ねあわせて、こうして言い訳として扱う。紫陽花だって咲いているんだから!と無理矢理な言い草で夏を延ばそう延ばそうと試みる。夏らしいものをわざと探しては強引に後ろ盾にしようとする。僕の仲良しが東京に行った際には、音声メッセージを使ってセミの声を送ってくれた。そういうことだ。セミだってまだ鳴いてるのだ。