犬の毛をワンポイントとして。

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 愛犬家の友達の家にお邪魔した日の翌朝はいつも、犬の毛が服に引っ付いて離れなくなる。この日だってそうだ。はしゃぐボストンテリアに右手を甘咬みされながら、うるせえうるせえと家を出た。結果これだ。格好良く服装を決めても、いつもワンポイント犬の毛が着いてくる。すごくだらしない人みたいに思われてしまいそうな。楽しい時間だったから全然問題無いんだけど。

 この日は東洋エンタープライズのベトジャンモチーフのTシャツに、フェノメノンの紺色のスラックスを合わせ、ジョージコックスの真っ黒なクリーパーシューズを履いた。靴下はいつも黒。明るいグレーの無地のソックスと迷ったが、全体を暗い色味で合わせる狙いがあってそれはやめた。

 色味で言えば、黒と黒でネイビーを挟むことで、近い色だとは言えメリハリを付ける狙いもあった。最近購入したスラックスをどうしても強めたくて、他のアイテムを黒に設定。黒子の役割に徹底してもらった。もっと鮮やかな色のパンツを合わせても良かったのかもしれないが、差し色をパンツに持ってくるのは個人的にちょっと気が引ける。色の面積の話で。パンツは全体の4割ないし5割程度を占めるから、そこに急な色を使用するには勇気が足りない。

 もう一つの狙い、丈感で言えば、少し着丈の短いトップスを選んだこともポイントとして挙げられる。あんまり真面目にこうして服装を解説するのはダサいかもしれないけれど。このネイビーのスラックスの、尾てい骨あたり。そこには、「家紋」が付いている。

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 せっかくこうしてポイントがあるならば、これを活かさない訳にはいかない。そこで、今回の服装では「着丈」を色味に次ぐテーマとして設定した。少し短めの着丈のTシャツを合わせることで、時より見える家紋の存在感を引き立てる。この服装で顔を合わせた際に、父親は僕に言った。

何だそれ。家紋か?かっこいいな。 

 ほら、思った通りだ。スラックスのカッチリ感に引きずられて、同じような色味のジャケットなんかを合わせてしまえばきっと、ベントの辺りが邪魔をしてこの家紋は見えていなかっただろう。ノーベントの全く切れ込みの無いジャケットなどは最悪だったと思う。そういう意味でも、やはり今回のようにTシャツをトップスに選んだのは最適なチョイスだった。服装に「最適」とか「ダメ」とか無いんだけどさ。

 服には正当性というのがあると思う。Twitter上でとてもよくコミュニケーションを取って下さる、大好きな方が僕のことをこう評した。

色んな服の組み合わせの正当性だとかハズしの妙だとか、服のことを考えるのが心から好きなんだろうなあ

 まったくその通りでニヤついてしまった。僕は服のことを考えるのが心から好きだ。本当に好きだ。この日昼ごはんを一緒に食べてくれた仲良しは、フレッドペリーのポロシャツを着て、その下にギャルソンのサルエルパンツを合わせていた。ソックスは赤と黒の細いボーダー。主張主張でアクの強いアイテムが多かったけれど、そこにもやはり彼女のセンスが光っていて。それは、ポロシャツの白とドクターマーチンの白をバッチリ合わせてくる辺り。

 また、小物はうるさくない黒のレザーのバッグを選んでいる辺り。主張の強いアイテムを選んでも、こうして色味で統一性を加えることで、全体にまとまりが出る。なかなかオシャレな人間だと思った。直接は恥ずかしくて言えないから、こうして見るか見ないかのギリギリの場所で言っておく。彼女はオシャレだ。

 色味だけではない。一つ一つのアイテムの「文脈」を見ても、やはりそこには正当性があった。フレッドペリー、ドクターマーチン。よくよく見ればバッグもドクターマーチン。そしてソックスは赤黒のボーダー。UKカルチャー、特にパンクの文脈をしっかり踏んでいるファッションには、彼女のこだわりがビシビシ響いていた。いいなあ、そういうの。

 やはり服にはその人の人間性が表われる。その人自身の人となりや好きなものが顕著に表れてくる。そんなのに気づかなくても別に上手くは生きて行けるけれど、どうせなら気づいてはニヤニヤしていたいなぁと思う。僕はやっぱり服が好きだ。こればっかり言っている。それくらい好きだ。