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突っ込み、突っ込まれ、突っ込まれ、ツッコまれ。

今週のお題「好きな服」

 

 Tシャツが好きだ。どうしようもなくTシャツが好きだ。今年も何事も無く夏が来てくれて本当に良かった。黙っているだけで汗がにじむようなこの季節、袖なんてさほど要らない。最低限で良い。肩が少しばかり隠れればそれで良い。

 TシャツはTシャツでも、僕は、少しだけツッコミどころのあるTシャツが好きだ。

https://instagram.com/p/zR0u78zKB2/

 健康的な、さらさらとした汗をかきながら、鏡の前で胸元の抜染に心を奪われる。一度だけこれを着て病院に行こうとしたことがあった。お母さんに呼び止められてハッとした。そうだ、僕の胸には「健康」と書かれていたのだった。入院していたおじいちゃんもビックリだ。TPOなんてくだらねえ、着たい物を着るぜ、なんていうパンクロックな気分全開の僕は、母親の優しい呆れ笑いに静止された。

 こんな孫で本当にごめんなさい、天国のおじいちゃん。そっちでも元気で男前なおじいちゃんで居られていますか。どうせ野球ばっかり観てるんでしょう。もうすぐお盆です。キュウリの馬に乗って早く帰ってきてください。どうか僕のバイト帰り、深夜の独り道に脅かしたりなんかはしないでくださいね。

 

https://instagram.com/p/wOCJUKTKPx/

 ツッコミどころといえばこんなTシャツもある。「ベトジャン」と呼ばれる、ベトナム戦争の際、米軍兵士がベトナムから持ち帰った上着たち。情けないような、あどけないような顔をしているトラや龍の刺繍がされている、有名なあのシャツ。あのディテールを、Tシャツに落とし込んだ一品。トラの下の「1965」は言わずもがなベトナム戦争の開始年を表していて。

 この情報を知らない友達から、『なんでそんな変な顔してるの、その虎』と言われたことがあった。延々この細部について語ると、あっちから聞いてきたくせに、話の終わり際にはまるで42.195kmのフルマラソンから帰ってきたかのような顔をした。夏の暑さのせいでないことは、一瞬で分かった。

 

https://instagram.com/p/ow_V6FTKGo/

 イッセー尾形のことはよく知らないけれど、ヤフーオークションに出ていてなんだか気になってしまい、即購入。ヒゲが濃い僕との共通点として、鼻と口の間のポツポツとしたヒゲ。「マスタッシュ」と呼べるほどは生えていないが、僕も最近、そこばかり残している。昨日はバイト先の常連さんから『どしたの!そのヒゲ!何それ!格好付けてるのかい!』と言われてしまった。「そうです、格好付けてるんです」と言ったら、さらにバカにされてしまった。もうじき剃り上げるつもりだ。

 

https://instagram.com/p/caokcEzKGH/

 ここまでのくだらなさを知ってもらえれば、きっと何となくわかるとは思うが、僕はテキサスに行ったことが一度も無い。田舎に生まれ、札幌にて育ち、今もまだ札幌にしがみついている。テキサスの「テ」の字も無い。一生懸命考えて出てきたのがマクドナルドの期間限定バーガーだというもんだから、僕には全く縁もゆかりもない土地である。友達が『TEXASAPPORO』とコメントをした。テキササッポロ。なんて言いにくい俗語なんだ。くだらないツッコミを考えるもんだ。友達でいられて本当に良かった。

 

 せっかく服を着るのだから、ちょうど良く外側にまとって人から見られるのだから、何か一つでもこだわりを持って着るようにしたいものである。そのこだわりというのが、僕にとっての「ツッコミどころ」である。それというのも、おみやげ屋さんに売っているような、例えば胸に大きく「京都」と書かれているような、そういうものではいけないのだ。なぜかと言えばそれは、「ツッコミ待ち」だからだ。待ちの姿勢で、なおかつ貪欲な。むっつりスケベな中学生じゃないんだから。「ツッコミ」ってそういうスケベなことじゃないけど。何だこの感じ。下ネタを言いたいわけではない。

 「ツッコミどころを持つ」と、「ツッコミを待つ」は全然違う。手偏と行人偏の違いだけではない。前者には余裕がある。別に何も言われなくとも関係ない、自分が着たいように着た上で誰かが何かを言っててくれ、みたいな余裕がある。レジュメにはバリッと自らの文章・考えを書いておきながら、コメント欄はコメント欄で端っこにきっちり用意しているイメージ。余白もちゃんと作りながら。

 後者(ツッコミを待つ)にはそれが無い。むしろ、コメント欄しか無い。僕についてのコメントください!!と。レジュメのど真ん中にコメントスペースをドカーンと載っけてしまうような。もはやレジュメではない。コメント用紙である。しかも、欲しくもない人に半ば強制的に配ってしまうような。早くコメントが欲しくてたまらない。ツッコミを入れられたくて仕方ない。そういう状態。「ツッコミ"だけ"を待つ」というか。

 これからも僕は、本当は「ツッコミ"だけ"を待つ」のような気持ちで居つつ、その強欲で邪な気持ちが上辺に滲まないよう必死に繕って、さも自分が余裕のある人間であるかのように「健康」と書かれたTシャツに汗を染みこませるのだと思う。心のなかがこんなにめんどくさそうな人を、他に知らない。

 関係ない話をダラダラ書いて、今週のお題を忘れていた。好きな服は「ツッコミどころのあるTシャツ」です。服に限らず、何でも。

https://instagram.com/p/2Ac35RzKKl/

 こういう斬新な略し方なんかも、ね。